『ハドソン川の奇跡』

ハドソン川の奇跡

原題:Sully/2016年/アメリカ
ヴィレッジ・ロードショー・ピクチャーズ、ラットパック=デューン・エンターテインメント、BBCフィルムズ、フィルムネイション・エンターテインメント、マルパソ・プロダクションズ、ザ・ケネディ/マーシャル・カンパニー、フラッシュライト・フィルムズ
配給:ワーナー・ブラザース
原作:チェスリー・サレンバーガー、ジェフリー・ザスロー
製作・監督:クリント・イーストウッド/脚本:トッド・コマーニキ
出演:トム・ハンクスアーロン・エッカートローラ・リニー

あらすじ:

 150人を載せた旅客機が墜落の危機に見舞われたが、機長の見事な判断でニューヨークのハドソン川に不時着。機内の全員が無事生還となったのだが、なぜか機長と副機長が事故の責任を追求されてしまう。何度言ってもわかってもらえないし、ホテルの部屋に監禁されたまま、家族にも会えず数ヶ月……もう勘弁してくれよ!

 

 そりゃパイロットの行動はたたえるべき偉業だし、多くの人に知ってもらうべき意義のある映画だとは思うが、機長すごい! えらい! 落ち着いてて素敵! 頭いい! 判断力高い! 責任感強い! 以外の感想は特に持てない。

 

 イーストウッド監督は86歳。一本の道に向かってひたすらまっすぐ進んでいく映画で、いよいよ老人映画の雰囲気が出てきた。もしかして、イーストウッドも機長すごい! えらい! 落ち着いてて素敵! 頭いい! 判断力高い! 責任感強い! 以外の気持ちは特になかったのではないか。とはいえ、最悪の事態を想像する機長の脳内ニューヨークで飛行機がドカドカ落ちるシーンなんかまるで911の再現で、アメリカ人が観たらトラウマものなんじゃないか。そういう描写をビビらずにちゃんとやれるのは、男の中の男、据わった肝のデカさが違うイーストウッド先生だからだろう。

 

 トム・ハンクスの老けメイクは『クラウド・アトラス』に比べたら別に驚くほどのことはないのだが、アーロン・エッカート(『ダークナイト』で熱血検事ハービー・デント役とか、キャサリン・ゼタ=ジョーンズが美人すぎるコックさんを演じる『幸せのレシピ』の相手役とか)が渋い初老の紳士に変身していたことになぜか感動してしまった。