『美わしき歳月』

ユーロスペース、生誕100年 小林正樹映画祭にて

美わしき歳月

1956年/松竹
監督:小林正樹/脚本:松山善三
出演:久我美子木村功佐田啓二織本順吉、田村秋子、小沢栄太郎野添ひとみ

あらすじ:

 医者のボンボン木村功は、山形勲院長とソリが合わず病院を辞め誇り高き無職に。しかし彼には結婚を約束している戦死した同級生の妹・久我美子がいる、が、まだ彼女と二人暮らしのおばあちゃんには恥ずかしくて話していない。全然仕事が続かなくて何度目かの無職だけど、早く再就職しなくっちゃ。一方、そんなこと知らないおばあちゃんは車に轢かれかけたことがきっかけで老け役社長・小沢栄太郎とやもめ同士仲良くなり、なんと互いの息子と孫娘の縁談を計画していた。木村功ピンチ! 親友ふたり(法曹くずれのインテリジャズドラマー・佐田啓二も、工場勤務の底辺労働者・織本順吉)も、かわいい妹・野添ひとみも、みんな功と美子の仲を心配しているぞ!

 
 登場人物がほぼ全員善人で、打算的なところ、がめついところが一切ない。人の幸せを願い、人の不幸を悲しむ人々の姿は確かにうるわしい。それなりにいくつかトラブルはあるけども、それは彼らの誠実さゆえのことで、全体として穏やかなホームドラマだった。


 ヤクザな稼業に染まってチャらくなった佐田啓二が、不謹慎にも親友の墓の前でトニー谷「馬鹿じゃなかろか」を歌うシーンあり→怒った織本順吉と殴り合いに


 同じく佐田啓二がキャバレーでドラムを叩くシーンで謎の黒人ドラマーが凄腕プレイを見せていた。オープニングクレジットで特別出演と書いてあったので、おそらく有名プレイヤーと思われるが名前失念……。つい先週に松竹からDVDが出たらしいからすぐわかるでしょう。


 が、それにしても戦争はやはりむごい。久我美子がなぜおばあちゃんと二人暮らしで花屋を営んでいるのかと言えば、兄は南方で輸送船とともに沈み、両親は爆薬の研究をしていて一緒に死んだ(吹っ飛んで?)のだという。久我美子の年齢設定は22歳。それで、上野の生花市場に雨の中朝早く出かけて、おっさんどもに混じって競りに出ているのである。嗚呼! 戦前/戦後の断絶はこちらがいくら想像しても追いつかないほど深い。



今日の東野英治郎:いい人(木村功父親役で超人格者

今日の沢村貞子:ネチネチうるさい人(木村功の母親役で小言が多い


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