『ヒッチコック/トリュフォー』

京橋テアトル試写室にて。12月10日公開

http://eiga.com/movie/84626/

ヒッチコックトリュフォー

原題:Hitchcock/Truffaut/2015年/フランス、アメリカ
Arte France、Artline Films、Cohen Media Group
監督・脚本:ケント・ジョーンズ/脚本・セルジュ・トゥビアナ
配給:ロングライド
出演:アルフレッド・ヒッチコックフランソワ・トリュフォーマーティン・スコセッシピーター・ボグダノヴィッチポール・シュレイダーデヴィッド・フィンチャーオリヴィエ・アサイヤスアルノー・デプレシャンウェス・アンダーソンリチャード・リンクレイタージェームズ・グレイ黒沢清

あらすじ:

 映画ファンならご存知の名著『映画術 ヒッチコックトリュフォーの舞台裏を軸に、インタビューの録音テープに残されていたヒッチ先生の肉声や、デヴィッド・フィンチャーウェス・アンダーソンマーティン・スコセッシ、ポール・シュレーダーピーター・ボグダノヴィッチ、日本からは黒沢清現役監督のヒッチコックを交えて実際の作品を検証するドキュメンタリー。

 


『映画術 ヒッチコックトリュフォー』……フランスの若いオタク監督(当時)フランソワ・トリュフォーが、スリラー映画の巨匠アルフレッド・ヒッチコック監督から全作品、全キャリアについて根こそぎ聞き出した超デカくて分厚くて重いインタビュー本。でも最高に面白い。

 

 例えば、何度も何度も、大事に大事に読んでいた心の一冊が、スクリーンから音と映像をもって、こちらに向かって語りかけてきたとしたらどうだろう?  もしかすると、IMAXもディズニーランドも太刀打ちできないくらいのアトラクションになるんじゃないだろうか。だって、ヒッチコックの声が、トリュフォーの声が、暗記さえしたあの本の一節を語りながら、ヒッチコック作品の名場面を解説してくれるのだ。『映画術 ヒッチコックトリュフォー』を通った映画好きなら、それはハリポタや指輪物語の実写化よりもはるかに意義あることだと思うはずだし、『映画術 ヒッチコックトリュフォー』ほどこうなって(映像化されて)然るべき本もない。こうして映像化されることがすなわち夢の実現、幻の実体化、望んでいた未来なのだ。

 

 この本を読み耽っていた当時、ヒッチコックの声を熊倉一雄トリュフォーの声を『未知との遭遇』でトリュフォー演じるラコーム博士の声を吹き替えた金内吉男の声で脳内再生しながら読んでいた。2人とも映画監督でありながら、俳優らしきこともたまにしていたので、日本語の吹替声優が存在するわけである(本人たちは知る由もないだろうが)。ただし、声優さんのお二方も亡くなられているので、この組み合わせでこのドキュメンタリーの吹替は残念ながら叶わない。せめてと思い、画面の字幕を追いながらの脳内再生をしばし楽しませてもらった。

 

 そんなわけで、この本を知らない人、ヒッチコックを知らない人が観てどう思うかまでは、もはや想像さえできない。ヒッチ先生は見た目も面白いし、ジョーク交じりの話が上手い人だから、きっとすぐ好きになって、たくさん映画が観たくなるようになるはずなのだが。

 

 ほかにも、「あれ、『大人は判ってくれない』ってこんなに洒落た映画だったっけ?」なんて、トリュフォーの映画を観直したくなったり。もちろん新撮インタビューに登場する監督のみなさんの映画も。だからまだまだ勉強が足りない。まだ観てない映画がたくさんある。一生かかっても追いつけないかもしれない。映画を観続けるのがしんどいときもある。でもきっと、そんなときはこのドキュメンタリーが映画を観る楽しさを思い出させてくれるだろう。

 

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